属人化を防ぐメンテナンス記録が技術継承の架け橋に

うちのサイトを見てると、改めて思うのです。私たちが目指しているのは、射出成形の金型メンテナンスをデータで管理して、現場をもっとスマートに、そして楽にすることなんだなって。今まで紙の台帳で管理していたり、ベテランさんの頭の中にだけノウハウが詰まっていたり…そういうのって、やっぱり限界がありますよね。探すのも大変だし、その人がいないとお手上げ、なんてことも。だからこそ、「メンテナンス記録の属人化を防いで、計画的な予防保全を実現する」というコンセプトは、本当に現場の「困った!」に寄り添っているなと感じます。いろいろな価値があると思うんですけど、今日はその中でも「属人化を防ぐ」ということについて、最近「これって、実はもの非常に温かい話なんじゃないか?」という印象ていることを、ちょっと話してみたいんです。

「属人化を防ぐ」と言葉だけ聞くと、なんだか「ベテランさんへの依存を減らす」みたいな、少しドライな響きに聞こえちゃうかもしれないです。でも、僕の考えはちょっと違っていて、これって「最高の職人技を、未来の世代へつなぐための最高の教科書作り」なんじゃないかと思うんです。例えば、長年現場で活躍されているAさんがいるとします。Aさんは、金型のちょっとした音の違いや、成形品の微妙なバリの出方で、「あ、この金型はそろそろあの部品のメンテナンスが必要だな」って、経験と勘で分かってしまう。これぞまさに「職人技」です。でも、もしそのAさんが異動や退職でいなくなってしまったら?その貴重なノウハウも、一緒に失われてしまうかもしれない。後輩たちは、同じトラブルに直面したときに、ゼロから原因を探らなくてはならなくなります。でも、もしAさんがメンテナンスした記録が、「いつ」「どの金型で」「どんな症状があって」「何をして」「どう改善したか」という情報と一緒に、写真付きでデータとして残っていたらどうでしょう。それはもう、Aさんの知恵が詰まった、後輩たちにとって最高の「生きた教科書」になると思うんです。

こういう、言葉にしにくい個人の経験や勘に基づく知識を「暗黙知」、マニュアルみたいに誰でも分かる形になった知識を「形式知」と言うらしいんですけど、まさに日々のメンテナンス記録をデータ化するというのは、「暗黙知」を「形式知」に変えていく作業そのものなのです。海外の調査データを見ても、熟練労働者の引退による「ナレッジロス(知識の喪失)」は、世界中の製造業にとって大きな課題になっているみたいです。(下のグラフはアメリカの例ですが、製造業の労働力不足と高齢化を示しています)。この課題に対して、私たちの「Mold Maintenance System」みたいに、タブレットで写真を撮って、作業内容を選ぶだけで記録が完了するという手軽さは、本当に重要だと思うんです。だって、忙しい現場作業の合間に、わざわざ分厚いファイルを探して、手書きで報告書を書くのって、正直非常に面倒じゃないですか。その点、スマホ感覚でパパっと記録できれば、自然とデータは溜まっていく。この「自然と溜まっていく」というのがミソで、数年後には会社にとって、お金では買えないほどの貴重な財産になっているはずです。

(出典: U.S. Bureau of Labor Statistics, "A look at the U.S. manufacturing labor force over the past 50 years")

みたいに、まだまだこれから技術を学んでいく立場の人間からすると、こういう仕組みがあるというのは、ものすごい安心感につながるのです。何かトラブルが起きたとき、先輩に聞きに行く前に、まずはシステムで過去の類似事例を検索できる。「あ、この不具合、半年前にも起きてたのです。その時はB先輩がこうやって直したのか…なるほど!」って分かれば、一人で延々と悩む時間も減るし、先輩の時間を奪うことも少なくなる。これって、決してベテランさんの仕事を奪う話じゃなくて、むしろ彼らが汗水たらして築き上げてきた貴重な知恵と技術を、私たち若手がしっかりと受け継いで、さらに良くしていくための「土台」なんだなと思います。単なる業務効率化ツールというだけじゃなくて、人と技術、そして世代をつなぐ「架け橋」みたいな役割。私たちのシステムが目指しているのは、そういう未来なんじゃないかなって、最近そんなことを考えています。