金型保全は稼働時間から実使用量へ、使用量基準の管理で突発停止を減らす方法

金型保全は稼働時間から実使用量へ、使用量基準の管理で突発停止を減らす方法

ニュースの概要

八千代ソリューションズは、工場管理システム「MENTENA」に、設備の実際の使用量を基準に保全時期を管理する機能を加えました。これまでのように稼働日数や前回点検からの経過時間だけで判断するのではなく、金型の使用回数など、劣化と結び付きやすい量を手掛かりに点検や整備を計画できます。特に射出成形では、品種や生産計画によって金型ごとの稼働頻度に差が出ます。実使用量を記録し、保全履歴と結び付けることで、点検の過不足を抑え、突発停止や金型の早期劣化を防ぐことが期待されます。経験者の勘に頼りがちな判断を、現場で共有できる記録へ移す動きとしても意味があります。

引用元: 工場管理システムが使用量基準保全に対応し、金型管理の予防保全を強化(MONOist)

分析・見解

稼働日数だけでは捉えにくい金型の劣化

金型の摩耗や可動部の傷みは、工場に置いてあった日数より、何回成形したか、どのような条件で使ったかに左右されます。同じ一か月でも、昼夜連続で生産した金型と、少量品を週に数回作った金型では負荷が違います。暦日だけを基準にすると、前者では手入れが遅れ、後者ではまだ使える金型を早く止めることになりかねません。使用量を保全の物差しにすることは、このずれを縮める取り組みです。

使用回数の記録を点検判断につなげる

使用量基準保全とは、設備の稼働時間や加工回数など、実際に使った量を目安に点検時期を決める方法です。金型なら成形ショット数(成形した回数)が候補になります。管理システムに使用量と整備内容を残せば、「何回使った時点で摩耗が見つかったか」「部品交換後にどれほど持ったか」を後から比べられます。点検結果を蓄積するほど、全金型に一律の周期を当てるのではなく、金型ごとの状態に合った目安を作りやすくなります。

ただし、ショット数が同じなら劣化も同じとは限りません。樹脂の種類、成形温度、圧力、冷却条件、保管環境なども寿命に影響します。回数だけを見て機械的に交換するのではなく、使用量を点検の合図として使い、現物確認と組み合わせる設計が現実的です。

突発停止を防ぐには履歴の質が重要

記録を残すだけでは、保全の精度は上がりません。金型の識別番号、成形機、製品、使用量、点検結果、交換部品を同じ単位で結び付ける必要があります。記録の粒度がばらばらだと、故障の前兆を比較できず、担当者が変わった際にも判断が引き継がれません。システム導入では入力の手間を増やさないことも重要です。自動で取得できる稼働信号は連携し、目視でしか分からない傷やバリは短い選択項目で登録するなど、作業の流れに沿った運用が定着を左右します。

一律の周期管理から金型別の予測へ

今後は使用量と修理履歴を重ねることで、金型ごとの点検周期や交換部品の準備時期を見直せる可能性があります。さらに成形条件や品質不良の記録まで結べば、金型の劣化が製品の寸法や外観に現れる前に、確認すべき対象を絞り込めます。一方、過去の記録が少ない段階で精密な予測を期待するのは早計です。まずは基準を仮置きし、点検結果と実際の故障時期に照らして改めることが大切です。システムの価値は導入時の機能より、現場の記録を改善に戻す循環にあります。

ビジネスへの影響

まず停止損失の大きい金型から試す

全金型を一度に管理対象にするより、故障時に納期や生産計画への影響が大きい金型を数型選び、試行するのが堅実です。過去の修理回数、停止時間、交換部品費、代替金型の有無を並べれば、優先順位を決めやすくなります。導入前には、ショット数をどこで取得するか、金型を交換した際に記録をどう切り替えるかも確認します。自動取得が難しい場合は、手入力の負担と記録漏れを試行期間で測り、運用方法を決めます。

費用対効果は点検費だけでなく停止損失で見る

評価指標を「保全費の削減」だけにすると、必要な点検まで減らす判断につながる恐れがあります。計画外停止の回数と時間、不良品の発生、緊急修理費、保全に要した時間を導入前後で比較します。たとえば停止一時間当たりの損失が大きい工程では、点検費が多少増えても、停止を一度防げれば採算が合う場合があります。金額を出しにくい場合も、納期遅延や休日対応の件数を記録すれば、現場への効果を判断できます。

現場の判断を置き換えず、共有できる基準にする

使用量のしきい値は、最初から正解を決めるものではありません。熟練者が気付く音や手触りを無視せず、点検時の所見として残し、数値との関係を確かめます。保全担当、生産担当、品質担当が月ごとに記録を見直し、点検時期や確認項目を調整する場を設けると、経験が組織の基準へ移ります。担当者の退職や配置替えで知識が失われるリスクも下げられます。導入の成否は画面の機能数ではなく、記録が次の判断に使われるかで決まります。

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